クリスマスオラトリオ第6部BWV 248-6 のビデオをご紹介します。トランペットとティンパニー以外は、すべてモダン楽器で、モダンピッチによる演奏です。

第一トランペットとティンパニー奏者は、Soft Bach Society Yamaguchi がオンライン共演した "ロ短調ミサ曲" においてバロックピッチで演奏しておられた方です。第一トランペットのドレスさんがこのビデオを送ってくださいました。

バッハの時代は、標準ピッチという概念が存在せず、ピッチは町ごとに違っていました。では何故、415Hzで半音低いのがバロックピッチと言われるようになったのでしょうか?バッハ以前のアーロン(Aaron 1480-1550)は鍵盤楽器の調律法について「最初のC音を任意のピッチにおいてよい」と教えました。更に遡れば、グレゴリア聖歌は楽譜が発明されておらず、歌い手の歌いやすいピッチで口伝してきました。ピッチは常に様々なピッチの共存状態でした。
もし、バロックピッチを半音ではなく、4分1音低いと仮定すると、殆どの楽器は大丈夫でも、鍵盤楽器は対応できません。半音低いなら半音移調することで鍵盤楽器も対応できます。バッハの時代には存在しなかった標準ピッチの概念ですから、我々の都合で、特に鍵盤楽器の都合で、バロックピッチを415Hzと決めたのは現代人と言えそうです。標準ピッチA=440Hzの場合、純正のAsは422.4Hz、純正のGisは412.5Hzであり、415Hzは妥協的な半音低い音ということになります。鍵盤楽器の場合、AsとGisは異名同音として、どっちつかずの妥協的同一ピッチにならざるを得ません。バッハ自身は、ピッチにこだわらず、場所により、機会により、楽器により、高くも低くも様々なピッチで演奏していたと思われます。

聖トーマス教会、2021年1月6日顕現節 の録画です。