嬰へ長調の調性格   ケレタート著「音律について」


#悪いイメージのもの
・マッテゾン・・・・稀にしか使用されないためまだ効果はよく知られていない

・ハイニヒェン・・・全く使用できないもの

フォーグラー・・・ロ長調よりも一層ひどく耳をつんざくような


#良いイメージのもの
・クラーマー・・・・高貴な誇りと崇高な誇りとが素晴しく混合された調整であり、聴く者を感嘆させる

・シューバルト・・・嬰ヘ長調ではなく、変ト長調の特徴を困難の克服、上り終えた丘の上での開放された呼吸にもたとえられる調性である

・シリング・・・・・嬰ヘ長調は変ト長調より一層明るく、鋭い調性でより強い情熱の表現に適している


#不明のもの
・ミース・・・・・・嬰ヘ長調は非常に多様である。変ト長調にもまた不変の性格は見つからない

・マルクス・・・・・この調性はエンハーモニック(両義的)な使用によって、不確実、疑わしいものに限定して使われる


嬰ヘ長調については悪いイメージものも、良いイメージのもの、不明のものが混在しており、共通するの調性格が見ありません。

これらのイメージは不等分音律で演奏した時の感じ方を記したものです。今日私たちが使用している平均律で演奏するとすべての調が同じ音階構造のため、調による違いが存在しません。

#が沢山ついた嬰へ長調もフラットのついた調もすべてが同じ調性格=調性格が無いのです。
それならば調号の無いハ長調とイ短調に移調する方が合理的ではありませんか。
それだけではありません。何調でも固定ド読みする従来の方法よりも、ハ長調とイ短調は音楽の正しい理解への道を開くのです。
イコール式バッハ平均律クラヴィーア曲集は全48曲をハ長調とイ短調に移調しました。イコール式


イコール式チラシ


バッハ平均律クラヴィーア曲集における嬰ヘ長調を見てみましょう。

1巻No.13嬰ヘ長調のプレリュードは軽く揺れ動くそよ風のような芳香を漂わせる2声プレアンブルム。続くフーガはピロードのように柔らかく美しい響きの中に浸っており、明るく愛らしく心ゆくまで音楽を楽しんでいるようです。

2巻No.13嬰ヘ長調は付点のリズムが一貫して流れるフランス序曲風のプレリュードは優雅な中に熱烈な張りをもっている。フーガは導音上のトリルで開始するという意気盛んなテーマと優美で親しみやすいガヴォット風の間奏をもつ円熟した対位書法です。

バッハ平均律クラヴィーア曲集に見られる嬰ヘ長調は優美、楽しさといった明るいイメージです。
しかし、これは嬰ヘ長調で演奏することによって明るいイメージになるのではありません。音楽自体が明るい曲想を持つのです。