イコール式チラシ

ケレタート著「音律について」
ヘ長調の調性格

マッテゾン・・・世界で最も美しい感情
シリング・・・・心底からの最も神聖な平安
フォーグラー・・非常に静か
クラーマー・・・柔和な品位
マルクス・・・・穏やかで優しい感受性
ベック・・・・・深化した自然感覚
リューティー・・(モーツァルトに関して)穏やかな気分
シンドラー・・・(ベートーベンに関して)田舎の平穏

これらはバッハの時代に一般的であった不等分音律でもって演奏した場合に感じられる調性格です。
今日一般的に使用されている平均律ではすべての調が等しい音階組織を持つので、調性格は存在しません。
従って平均律においてはヘ長調をいかなる調に移調して演奏しても、その音楽の構造は変化を全く受けません。
ハ長調とイ短調に移調したバッハ平均律クラヴィーア曲集
イコール式


今度はバッハ「平均律クラヴィーア曲集」の中にあるヘ長調を見てみましょう。
「平均律クラヴィーア曲集」第1巻No.11ヘ長調は優美な可愛い性格の2声インヴェンションと楽しげなパスピエ風のフーガです。
2巻No.11ヘ長調は平穏で柔和なプレリュードと活気に満ちたジーグ風のフーガです。

「平均律クラヴィーア曲集」の中のヘ長調を見ると、不等分音律の調性格論者たちが言う「穏やかで神聖な平安」と一致するのは2巻のプレリュードのみです。その他の曲は「穏やか」というよりはもっと可愛く、楽しく活気に満ちたものです。
バッハは「平均律クラヴィーア曲集」を作曲し演奏する際に、24すべての調が極端な響きを発生しないように調律しました。このことは「すべての長3度を純正より広く取る」とバッハ自身が述べたことからも理解できるように、今日の平均律に近い音律であったことが想像できます。
従って平均律と同じように「平均律クラヴィーア曲集」には調性格が殆んど存在しないとも言えるでしょう。

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