キルンベルガー(1721年生まれ)はキルンベルガー音律で知られる音楽理論家です。バッハに師事し、その教えを「正しい作曲技法」として著しました。
キルンベルガーは平均律と調性格について次のように述べています。

・・・平均律によって実際何も得られないばかりでなく、非常に多くのものを失った。平均律は作曲家に長調にするか短調にするかの選択肢しか残さない ・・・

次にミツラー(1711生まれ)はドイツの大学で音楽を講じた最初の人で、彼が設立した音楽学協会にバッハを加入させたことで有名な音楽学者です。彼の意見は次のようなものです。

・・・平均律を前提とすれば、ただ高さによってのみ識別される12の調種には、2つの調性(長調と短調、すなわちこの概念はむしろ旋法と捉えることができる)だけがある ・・・

次にヘルムホルツ(1821生まれ)は音楽的な音響学を確立したドイツの音響学者、物理学者ですが、彼の平均律論は以下のようなものです。

・・・すべての半音が音階全体を通じて同じ大きさであり、すべての音が同じ音色をもっている時には、異なる調性の作品が異なる性格をもつはずであるという見解に対する根拠を示せない ・・・

最後に私見を述べさせていただくと、今日まで完全な平均律などというものはなく、僅差の処理は調律師に任されています。しかし、平均律における僅差が調性格を形成するのではありません。
楽曲が作曲された時代には実態として存在した調性格ですが、今は実態として存在しないにも関わらず、調性に関する神話の呪縛から開放されていないだけなのです。