オルガンの専門家であるケレタートが1978年におこなった調性格の聴取テストをご紹介します。

*被験者はピアニスト、チェンバロ奏者、オルガニスト、ピアノ調律師、オルガン等の製作者、音楽学者など40人。

平均律とキルンベルガーに調律したチェンバロを交互に弾くテストで、曲は平均律クラヴィーア曲集 1巻1番 ハ長調 プレリュードです。
この曲をロ長調、ハ長調、変ニ長調で演奏しました。

結果は平均律では音の高さが変わったことには気づいたが調性の違いを確認できた被験者は一人もいませんでした。
キルンベルガーでは純正の長3度でハ長調はおのずと分ってしまい、ロ長調と変ニ長調はどこかおかしいと感じられました。

次に平均律クラヴィーア曲集 1巻8番 嬰ニ短調 プレリュードをニ短調、嬰ニ短調、ホ短調で演奏します。

結果は平均律では特徴的な性格を持つ短調の表現に合わないと感じられた。
キルンベルガーではニ短調とホ短調は中立的で単に綺麗に響くだけ、嬰ニ短調は非常に説得力のある段階に達していると感じられた。*

以上の結果から言えることは平均律では音の高さの違いしか感じられず調性格は感じられないということです。一方キルンベルガーでは調性格の違いを実際に耳で確認することができたということです。

「平均律クラヴィーア曲集」は24の長短調が網羅されています。これらを、平均律で弾くと調性格は感じられずすべての調が同一のモノトーンです。何調で弾いても調性格に違いが感じられないのに何故24もの調短調で弾く必要があるのでしょうか。わざわざ難しい調で弾いて何のメリットがあるのでしょうか。

イコール式では、まず全曲をハ長調とイ短調で相対音感的にしっかりと理解することが大切だと考えます。この2つの調は階名と音名が一致するので、バッハの対位法を一目瞭然で理解し、内的聴覚でもって音楽を頭の中に記憶することができます。学んだ1曲1曲を記憶に留め、頭の中に財産として蓄積することが可能です。絶対音感に基づく固定ド読みで「平均律クラヴィーア曲集」を弾いたのでは内的聴覚でもって音楽を頭の中に記憶することが困難です。