バッハは音楽についての理論的な著書を全く書きませんでした。残念なことにその教えは弟子の著書を通じ後世に伝えられているのみです。
弟子のキルンベルガー(1721生)は師バッハを「あらゆる時代を通じて最も偉大な和声の達人」と呼び、方法論的にも内容的にもバッハの教えである主著[正しい作曲技法 1771 ]を書きました。
[正しい作曲技法]についてシュピッタ(1841生、音楽学者)は次のように述べました。すなわち「バッハの実践的教えの反映である。20世紀までほとんど独占的に決定的なものであった」と。

そのキルンベルガーは最初から平均律を拒否し、1779年においてもなお「平均律は退けるべきもの」と語るました。
「平均律を耳だけで調律するのは不可能であること」や「調性格が失われること」などが平均律を退ける理由でした。

もし、バッハの教えが平均律であったのなら彼がこのようなことを言うのは理解し難い事です。「平均律クラヴィーア曲集」の平均律という訳語を今日の12等分平均律であると考える意見もありますが、キルンベルガーの考えから察すると不等分平均律であるというのが妥当です。