最近は紙の楽譜ではなく、ダウンロード楽譜のサイトが増えて来た。また紙の楽譜ではなくタブレットを見ながら演奏する人も増えて来た。昨今では楽譜を好きな調に移調してダウンロードできるサイトも出てきた。これは大変便利であり、普及するだろう。

やわらかなバッハの会=Soft Bach Society は設立当初から楽譜の移調を奨励している。特に合唱などで、移動ド読みの苦手な人はハ長調とイ短調に移調すると音程を取り易くなる。バッハ自身もいろいろな移調を試みた。平均律クラヴィーア曲集、カンタータ、チェンバロ協奏曲、オルガン協奏曲、ブランデンブルク協奏曲などに見られる。またアンサンブルでは移調楽器のための移調がつきものである。そもそもバロックピッチとモダンピッチでは半音違っている。そのため絶対音感保持者が、バロックピッチの原調ハ長調の作品を演奏するためにはロ長調の楽譜が必要になってくる。
ピッチ、絶対音感、移調について私は『やわらかなバッハ』(橋本絹代著、2009年、春秋社)第3章で詳しく述べた。

私は『やわらかなバッハ』の出版以前に、バッハ平均律クラヴィーア曲集48曲をすべてハ長調とイ短調で弾けるように移調した楽譜を出版していた(橋本絹代編著、2007年、カワイ出版)。
これを ” イコール式 ” と名付け『イコール式 バッハ 平均律クラヴィーア曲集』として出版
した。

" イコール式 " の発想が普及し、自由に移調できる楽譜サイトの時代がやってくること確信していた私は特許庁に出願を提出した。
その結果、2007年に " イコール式 "  は、商標第41類 鍵盤楽器奏法の教授 登録第5091155号を取得した。さらに電子楽譜の時代を予見していた私は、第9類 ダウンロード可能な電子楽譜 登録第5203860号も取得した。
これに基づき イコール式 音楽研究所を立ち上げ、イコール式による音楽教育を開始した。
また、拙著に基づき" やわらかなバッハの会 " を2013年に設立し、アンサンブルでバッハのフーガを楽しみながらバッハの音楽を広める活動を始め現在に至っている。

私は” やわらかなバッハの会=Soft Bach Society " の活動を国際音楽学会正会員として海外で発表し、世界で初めての試みとして注目されている。来年2020年はバッハの聖地ライプツィヒで毎年開催されるバッハ音楽祭で演奏する機会もめぐって来た。
やわらかなバッハの会=Soft Bach Society は固定観念に縛られない未来の演奏法によって、プロとアマが一緒になってバッハの音楽を楽しむ会である。

" イコール式 " は未来を予見していることが徐々に証明されてきたが、50年先を予見した話を紹介したい。それは私の小学校入学時の記念写真、50年以上前の話である。黄色のランドセル
当時は白黒写真しかなかったが、右側の写真で私の着ているジャンパースカートは赤い生地に白い線が縦にあしらってあった。背負っているランドセルの肩部分を見るとジャンパースカートより薄い色であることが見てとれる。当時のランドセルといえば決まって男子は黒、女子は赤だったが、私のランドセルは赤よりも薄い色だった。祖母の入学祝で、祖母は知り合いのカバン屋に特注のランドセルを作ってもらった。何故か牛革を黄色に染めてランドセルを仕立ててもらったのだった。当時、赤以外のランドセルは非常に珍しかったと思う。しかし今ではどうだろう。赤以外のランドセルが当たり前になっている。入学季節になると色とりどりのランドセルが店頭に並ぶ。今やランドセルは黒か赤という固定観念に縛られない時代になった。演奏に際しても原調という固定観念に縛られない時代が近づいてきたようだ。日々進む研究によって原調の根拠が揺らいできた。図書館の奥に大切に保管されているバッハ自筆はつい最近まで大学の研究者だけが目にすることのできるものだった、ネットの普及によって、デジタル化され、世界のどこにいてもネット環境さえあれば誰でも目にすることのできる時代になった。実物より、ネット画像を拡大する方がより鮮明に見えるという。バッハ研究の広がりやダウンロード楽譜の普及とともに、原調という固定観念も徐々に色とりどりのランドセルに変化するだろう。