ドイツのライプツィヒはバッハの総本山である。

バッハは38才から、世を去る65才まで、ライプツィヒでトーマス教会のカントルの地位にあった。何百年にもわたってトーマス教会のカントルがニコライ教会も統括したのでバッハはトーマス教会とニコライ教会というライプツィヒの2大教会の責任者だった。さらにライプチィヒ市や、ライプツィヒ大学の音楽監督も務めていたのだから、その多忙さは想像を絶する。

現在のトーマス教会カントルを務めるのは、シュヴァルツ。バッハから数えて10代目のカントルである。

毎年6月に開催されるバッハ音楽祭はライプツィヒのいたるところでコンサートが開かれる。10日間にわたって161のコンサートやガイドツアーが組まれている。平均すると一日16個のプログラムがあるので、時間が重なってどちらに行くか悩んでしまう。しかしオープニングコンサートとクロージングコンサートはさすがに重なっていなし。最初と最後はトーマス教会カントルのシュバルツ指揮、トーマス教会で行われた。最後は恒例の 《ミサ曲ロ短調》 で、トーマス教会は超満席、チケットを買えなかった人もたくさいん居た。

会場はトーマス教会とニコライ教会をメインに、福音改革教会、ルター教会、カトリック教会、lミカエリス教会、ペーター教会、ライプツィヒ大学教会などでカンタータ、受難曲、オルガン曲などのコンサート、礼拝でも本格的な演奏を聴くことができた。

教会以外にもバッハ博物館、旧交易会館、旧市庁舎、最高行政裁判所、マルクト広場、ゲヴァントハウスホール、メンデルスゾーンハウス、現代史博物館、音楽学校、コングレスホール、楽器博物館、ライプツィヒ中央駅、・・・・など、いたるところで様々なコンサートが行われた。

また、バッハゆかりの場所を巡るウォーキングツァー、バッハ資料館内のツァー、中には近郊へのバスツァーもあった。例えば献堂式用のカンタータ194番を、実際に献堂式の行われたライプツィヒ近郊のシュテルムタール教会まで行って聴くというツァーである。シュテルムタール教会は想像以上に小さい教会だったが、ライプツィヒ大学音楽監督 Timm 指揮、ポーリナーバロックアンサンブル で立派な演奏が行われた。
シュテルムタール
シュテルムタールバルコニー

バッハ音楽祭に招かれるのは世界的レベルの人ばかりである。
ガーディナー、コープマン、ラーデマン、鈴木雅明、ティム、ルクス、グッドウィン、ハートマン、ゲッショルト、ハラー、ラーデマン、ベーム、ツェラー、シフ、ロンドー、シュタイアー、レヴィン、ウィスペルウェイ・・・・などなど。

演奏曲はカンタータ、ヨハネ受難曲、マタイ受難曲、平均律クラヴィーア曲集、ゴルトベルク変奏曲、イタリア協奏曲、フランス序曲、フーガの技法、ブランデンブルク協奏曲、無伴奏チェロ組曲、ドイツオルガンミサ、パルティータ、トッカータ、プレリュードとフーガ・・・などなど

演奏に関しては気に入ったものも、そうでないものもあったが、それらは判断基準の根拠とするものが常に正しいとは限らない。バッハ演奏に関する作法は時代によって、また演奏家によってまちまちである。これからも変化していくだろう。現在だけを見ても、ある作法に対して真逆の作法を主張する学者も珍しくない。ともあれどのように演奏しても、それがバッハの音楽であることに変わりはない。作法や演奏家のテクニックの良し悪しを聴くのではなくバッハを聴けばよい。バッハのハーモニ、対位法、宇宙の調和、心の調律を聴きたいものである。○○氏のコンサートである前に、バッハのコンサートなのだから。教会でのコンサートは演奏者の姿は普通見えない。聴衆の席は1階、演奏は2階のバルコニーで行われるからである。この位置関係だと演奏者の姿に気を取られることなく、高いところから降ってくる天上の音楽を純粋に聴くことができる。