バッハのWTC(=平均律クラヴィーア曲集) は鍵盤楽器の作品です。
当然歌詞はありません。

 もし、バッハのフーガに歌詞を付けて歌うとどのようになるでしょうか?
WTC(=平均律クラヴィーア曲集) の中から 第2巻9番ホ長調のフーガに洋風の歌詞と和風の歌詞を付けたものを聴いてみましょう。

「Kyrie eleison(主よあわれみたまえ)」 と「南無阿弥陀仏」 の歌詞でそれぞれどうぞ。

初音ミクより Kyrie eleison

初音ミク 南無阿弥陀仏

いかがでしたか?

どちらも楽しませてくれますね。

ここでちょっと話を変えて、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」を例にして考えてみます。
この喜劇を、日本語で上演するだけではなく、完全に日本風にしてみたら面白いかもしれません。

実際、「ヴェニスの商人」は「桜時銭の世の中」という題で歌舞伎風に上演されたことがあるそうです。
シェイクスピアの方は16世紀のヨーロッパの貿易都市ヴェニスが舞台ですが、歌舞伎の方は江戸時代大阪・難波が舞台です。

歴史的背景、衣装、道具立てなどが違っても、シェイクスピアの言葉、それを通じて観客に伝わる人間性への深い洞察は変わらないでしょう。
シェイクスピアの真髄は日本風に翻案しても消えないでしょう。

同じようにバッハのWTC(=平均律クラヴィーア曲集)を日本風に演奏しても、その真髄は消えないのではないでしょうか?
例えば、先ほどの「南無阿弥陀仏」を非常にスローなテンポで雅楽のように演奏しても
バッハの真髄は消えないでしょう。