平均律クラヴィーア曲集(WTC)の数あるCDの中から演奏テンポの比較を以下に記す

WTC第2巻第21番 変ロ長調プレリュードは上下しながら絡み合う声部が流れるように美しい労作である。拍子は12/16であるが、3連符が連なる4拍子のように感じて弾いていないだろうか。WTCはこのような細かい拍子をもつ楽章が結構多い。例えば、第1巻では12/8拍子、24/16拍子、9/8拍子、第2巻では6/16拍子などがある。演奏テンポの数字は♪、(付点8分音符)のテンポである。

レオンハルト66
イェルク・デームス76
ランドフスカ80
エディット・ピヒト・アクセンフェルト96
トン・コープマン100
グルダ 104
フィッシャー 108
シフ  108
リヒテル 116
ギーゼゼキング 120
カークパトリック 132
グレン・グールド 144    
 
[高木幸三 バッハ平均律クラヴィーア曲集 演奏家別テンポ一覧表より]

一番遅いテンポのレオンハルト66と、一番速いテンポのグレン・グールド144では倍以上違う。
こうしたテンポに大きな幅があるというのも興味深いところである。
フィッシャー(Edwin Fischer 1886〜1960)は「バッハのフーガは、明瞭に弾けば弾くほど、また、よいフレージングをすればするほど、まったくおのずから、ますますゆっくりと演奏することになるであろう」と述べた。これはけだし名言である。
あなたも、常識では考えられないくらいの遅さで一度弾いてみると何かの発見があることだろう。