メロプラスト法
メロプラスト法とは音部記号のない5線譜表のことです。フランスのガラン(1786〜1821)が考案し、ガラン=パリ=シュヴェ法の中で用いられる指導法です。

図をクリックして拡大していただくと、一人の教師と楽器を持っていない生徒たちとのソルフェージュの授業風景であることが分ります。前のボードには5線と上下各2本の加線が書いてあり、音部記号がありません。教師が棒で指し示しているのは第2線です。もし、音部記号としてト音記号が書いてあると想像して読めば、教師の棒は「ソ」の音を示していることになります。
しかし、メロプラスト法では音部記号がなく、「ド」の位置が移動するので、これが必ずしも「ソ」になるとは限りません。つまりメロプラスト法では、「ド」の位置を何処にするかによって、教師が指している第2線が「ドレミファソラシ」の中のどれか一つという7つの可能性を持つことになります。

教師が7種類もの「ド」記号で読む練習をさせているということは、言い換えれば移動ド読みの練習です。ピアニストは普段、7種類もの「ド」記号で読む練習をしていないので、調ごとに「ド」の位置が変わる移動ド読みは苦手という人が多いでしょう。苦手というより、ピアニストの特性として、移動ド読みを排除して、固定ド読みの人が多いでしょう。

この現象は従来のピアノ教授法がもたらした当然の結果と言えます。従来の教授法では、まず最初に下第1線の「ド」がピアノの真ん中の「ド」であると教えます。これは明らかに1種類の「ド」記号しか念頭に置いていない教授法です。本当は「レ」と読む場合や「ミ」と読む場合など調によって7種類もあるのです。もっと厳密に言うならば「ド」と「嬰ド」を分けて12種類あることになります。
下第1線を何と読むかという問題は音部記号と調によって様々に異なります。

こういったことを考慮せずに、従来の教授法ではたった一つの読み方で短絡的に「ド」と教える場合が多いのです。その結果、音楽的白紙状態にある生徒が初歩の段階から固定ド読み教育を受けてしまうのです。ハ長調の次にト長調が出てくる頃には、既に移動ドで読む芽を摘まれてしまっているので、ト長調の「ドミソ」を「ソシレ」と読んで何の疑問も持たなくなっています。そして、どんどん調号が増えるに従って、固定ド読みの教授法が続いていくのです。

イコール式では、すべての調性音楽をハ長調とイ短調に移調した楽譜を用います。
これは1種類の「ド」記号だけであらゆる調の音楽を、正しく読むことができる方法です。イコール式は固定ド読みの弊害を改め、音楽を正しく理解するための相対音感による鍵盤楽器教授法を提唱しています。