やわらかなバッハの会 Soft Bach Society

先入観念にとらわれることなく、バッハの音楽に親しむ会です。
イコール式音楽研究所  所長  橋本絹代
Equal Method Music Institute President Kinuyo Hashimoto

クオドリベット

クオドリベットとは「好きなもの」という意味で、ゴルトベルク変奏曲 BWV988、BWV 524、農民カンタータ BWV 212 の序曲 に見られます。複数の周知のメロディー(民謡)を結び合わせて各人が勝手に「好きなもの」を歌うユーモラスな音楽形式です。バッハ一族は毎年1回各地からテューリンゲン州に集まり、この種の即興的なクオドリベットで一緒に音楽を作り、酒と料理とともに大いに楽しみました。現在、バッハ家は世界的な存在です。J.S.バッハを愛するゆえに、世界中にバッハ協会、バッハ合唱団に参加する人々は皆バッハの家族です。

そして「バッハ 私たちは家族です」は 2020 ライプツィヒ・バッハ音楽祭のテーマになりました。
2020年は今までになかったことがバッハ音楽祭の中で起こります。世界6つの大陸から約50のバッハ合唱団やアンサンブルがライプツィヒに招待され、演奏します。Soft Bach Society も招待され、2020年6月14日午後3時より、福音改革教会でバッハの作品を数々を演奏します。プログラム No.50 に私たちの演奏曲目が載っています。

2020の新しい試みの一つとしてプログラム No.35 ヨハネ受難曲 BWV 245 の 合唱参加があります。これは最も大きな会場のマルクト広場で何千人もの人々が合唱を一緒に歌います。
また日曜の礼拝は各教会でカンタータが演奏されますが、マルクト広場でも礼拝が行われ、プログラム No.37 BWV 178, SWV 489 に誰でも合唱参加できます。
選考を経て60名だけの合唱参加は プログラム No.134 BWV 128, BWV 129 です。これはトマス教会で行われ、現カントルのシュヴァルツ指揮ライプツィヒバロックオーケストラの演奏です。

2020年は66のカンタータが演奏される魅力的な企画に加えて、トン・コープマン、ヒューイット、エスファニ、ウィスペルウェイなどのスター、バッハの直接の子孫とヴォルフ博士、マウル博士の講演、日帰りのコンサートとオルガンツァーなど、体が一つではとてもこなすことのできないメニューが揃っています。フィナルコンサートはゲヴァントハウスをネルソンスが指揮をします。ネルソンスはウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの2020の指揮者に決定しています。チケットは早めに求めないと無くなりそうです。

ダウンロード楽譜

最近は紙の楽譜ではなく、ダウンロード楽譜のサイトが増えて来た。また紙の楽譜ではなくタブレットを見ながら演奏する人も増えて来た。昨今では楽譜を好きな調に移調してダウンロードできるサイトも出てきた。これは大変便利であり、普及するだろう。

やわらかなバッハの会=Soft Bach Society は設立当初から楽譜の移調を奨励している。特に合唱などで、移動ド読みの苦手な人はハ長調とイ短調に移調すると音程を取り易くなる。バッハ自身もいろいろな移調を試みた。平均律クラヴィーア曲集、カンタータ、チェンバロ協奏曲、オルガン協奏曲、ブランデンブルク協奏曲などに見られる。またアンサンブルでは移調楽器のための移調がつきものである。そもそもバロックピッチとモダンピッチでは半音違っている。そのため絶対音感保持者が、バロックピッチの原調ハ長調の作品を演奏するためにはロ長調の楽譜が必要になってくる。
ピッチ、絶対音感、移調について私は『やわらかなバッハ』(橋本絹代著、2009年、春秋社)第3章で詳しく述べた。

私は『やわらかなバッハ』の出版以前に、バッハ平均律クラヴィーア曲集48曲をすべてハ長調とイ短調で弾けるように移調した楽譜を出版していた(橋本絹代編著、2007年、カワイ出版)。
これを ” イコール式 ” と名付け『イコール式 バッハ 平均律クラヴィーア曲集』として出版
した。

" イコール式 " の発想が普及し、自由に移調できる楽譜サイトの時代がやってくること確信していた私は特許庁に出願を提出した。
その結果、2007年に " イコール式 "  は、商標第41類 鍵盤楽器奏法の教授 登録第5091155号を取得した。さらに電子楽譜の時代を予見していた私は、第9類 ダウンロード可能な電子楽譜 登録第5203860号も取得した。
これに基づき イコール式 音楽研究所を立ち上げ、イコール式による音楽教育を開始した。
また、拙著に基づき" やわらかなバッハの会 " を2013年に設立し、アンサンブルでバッハのフーガを楽しみながらバッハの音楽を広める活動を始め現在に至っている。

私は” やわらかなバッハの会=Soft Bach Society " の活動を国際音楽学会正会員として海外で発表し、世界で初めての試みとして注目されている。来年2020年はバッハの聖地ライプツィヒで毎年開催されるバッハ音楽祭で演奏する機会もめぐって来た。
やわらかなバッハの会=Soft Bach Society は固定観念に縛られない未来の演奏法によって、プロとアマが一緒になってバッハの音楽を楽しむ会である。

" イコール式 " は未来を予見していることが徐々に証明されてきたが、50年先を予見した話を紹介したい。それは私の小学校入学時の記念写真、50年以上前の話である。黄色のランドセル
当時は白黒写真しかなかったが、右側の写真で私の着ているジャンパースカートは赤い生地に白い線が縦にあしらってあった。背負っているランドセルの肩部分を見るとジャンパースカートより薄い色であることが見てとれる。当時のランドセルといえば決まって男子は黒、女子は赤だったが、私のランドセルは赤よりも薄い色だった。祖母の入学祝で、祖母は知り合いのカバン屋に特注のランドセルを作ってもらった。何故か牛革を黄色に染めてランドセルを仕立ててもらったのだった。当時、赤以外のランドセルは非常に珍しかったと思う。しかし今ではどうだろう。赤以外のランドセルが当たり前になっている。入学季節になると色とりどりのランドセルが店頭に並ぶ。今やランドセルは黒か赤という固定観念に縛られない時代になった。演奏に際しても原調という固定観念に縛られない時代が近づいてきたようだ。日々進む研究によって原調の根拠が揺らいできた。図書館の奥に大切に保管されているバッハ自筆はつい最近まで大学の研究者だけが目にすることのできるものだった、ネットの普及によって、デジタル化され、世界のどこにいてもネット環境さえあれば誰でも目にすることのできる時代になった。実物より、ネット画像を拡大する方がより鮮明に見えるという。バッハ研究の広がりやダウンロード楽譜の普及とともに、原調という固定観念も徐々に色とりどりのランドセルに変化するだろう。





ヨーヨー・マー異色の挑戦

ヨーヨー・マーはフランス生まれ、アメリカ育ちの中国系アメリカ人である。音楽家の両親のもとに生まれ、幼いことからチェロを始め、7才の時、ケネディ統領の前で演奏するなど直ぐに神童の名を得て世界中で演奏活動を行う。その上ハーバード大学で人類学の学位も取得した。
彼が今開催しているバッハ・プロジェクトは講演場所にクラシック・ホールではなく、数千人以上のキャパシティーのある以外な場所を選んでいる。それは「世界各地で少しでも多くの人がバッハを聴けば、社会に変化が生じるだろう」というヨーヨー・マーの考えからである。今年4月のメキシコシティーの広場で20,000人、シカゴ・ミレニアムパークで、20,000人、マサチューセッツで12,000人、コロラド州で10,000人を集めた。

彼はバッハのチェロ組曲を「この作品は感情の状態で、思考のひとつの類型だ。文化はひとの感情や思考を訓練させ、これはバッハが誰よりも得意をしたことだ」と言う。1989年、崩壊したベルリンの壁の前でロストロポーヴィチが演奏したのも、パリのノートルダム大聖堂火災の復旧資金調達の舞台で演奏されたのもバッハのチェロ組曲だった。

彼は「分裂した社会をバッハが救うだろう」と述べ、沢山の人にバッハの音楽を届ける活動を世界中で展開している。Soft Bach Society はヨーヨー・マーの「バッハ・プロジェクト」に賛同し、エールを送りたいと思う。Soft Bach Society はバッハの音楽をアマチュアに演奏し易い方法で示し、誰でもバッハを演奏できることを目的としている。なぜなら、バッハは心を調律し世界中の人が心を一つにできるからである。

アリア「すべては神とともにあり」BWV 1127

バッハの自筆譜「すべては神とともにあり」は、アンナ・アマリア図書館の壊滅的な火災の中、幸運な事情で損傷なく残されたヴァイマールの祝祭行事書類の中からMichael Maul博士によって発掘されました。それは過去何十年で最も重大なバッハ資料の発見で、詳しい報告は「バッハ年鑑2005」の巻頭論文として発表されました。

来る8月4日14時  山口県旧県会議事堂 にてライプツィヒよりMaul 博士を招き、発見にまつわる講演会を開催します。

アリア「すべては神とともにあり」はバッハが仕えたヴィルヘルム・エルンスト公爵の誕生日を祝い、ヴァイマール近郊のブットゥシュテット教区長ミリウスが献呈した詩です。信仰の厚い公爵のモットーである「すべては神とともにあり、神なしでは何もない」という12節の詩は第2行の3番目の言葉がそれぞれ変えられており、1節から順に読むと公爵の名前 WJLHELM ERNSTの12文字を読み取ることができます。最後の二ページに手書きの総譜がありますが「ソプラノ独唱アリアとリトルネッロ」という表題のほか作曲者名はありません。勿論、筆跡鑑定になんら疑いはなく、バッハの直筆であることが証明されました。

世界中に大きく報道されて有名になったアリア「すべては神とともにあり」は、2005年7月、ミヒャエル・マウル博士立ち合いのもとで、ジョン・エリオット・ガーディナーがCD録音を行い、続いてトン・コープマンがアムステルダム・バロックオーケストラと、また鈴木雅明がバッハ・コレギウムジャパンと録音し、現在すでに15枚を超えています。
8月4日は講演のあと、ミヒャエル・マウル博士のヴァイオリンと、やわらかなバッハの会(Soft Bach Society)の演奏でお届けします。                   







ライプツィヒ・バッハ音楽祭を聴く

ライプツィヒ・バッハアーカイブ にて
宣伝















ライプツィヒ・バッハ音楽祭 Bachfest 2019 に行って来ました。
今年も大賑わいでヴァイマールカンタータなど人気のコンサートはすべて売り切れ状態。しかしモテットなどはプログラム代として2€を払えば、カンタータを一流の演奏で聴けるのでねらい目です。また日曜礼拝は無料で、これも素晴らしいカンタータが聴けます。

日曜礼拝は幾つかの教会で一流の演奏を無料で聴くことができますが、特に最終日のトマス教会ではバッハの時代に行われていた形式に沿った礼拝をやってくれるので一度は参加する価値あり。2時間ほどかかる礼拝です。
今年のトマス教会日曜礼拝は、カンタータ BWV 20 《おお永遠、そは雷の言葉》、トマス少年合唱案団、トマス合唱団、ゲヴァントハウス管弦楽団、トマスオルガニストのベーム、トマスカントルのシュヴァルツ指揮という豪華メンバーでした。
礼拝はまず、オルガンのプレリュードとフーガ BWV 547のプレリュードの演奏。そして幾つかの会衆賛美を歌った後、 牧師の長い説教の前にカンタータ 20番の第一部が18分間演奏されました。説教の後にまた幾つかの会衆賛美を歌った後、同カンタータの第2部が7分間演奏されました。その後また会衆賛美を歌い、最後にBWV 547 のフーガが演奏されました。

トマス教会やニコライ教会の近くではストリートパフォーマンスが毎日繰り広げられていました。ブラスアンサンブル、ヴァイオリン、木琴、アコーディオンなどがバッハの音楽を高度なテクニックで演奏していました。

音楽祭総監督のMichael Maul 博士は、ご自身のレクチャーもあり、即興オルガニストのルッツとの音楽対話やバッハ音楽祭2020の紹介などでも大活躍。皆さんを笑わせる才能をお持ちのようでした。

Maul博士はSoft Bach Society の活動を理解応援してくださっており、来る8月4日には山口に来られます。バッハのアリア「すべては神と共にあり BWV 1127」の発見者として世界的に有名なMaul 博士が、講演会で発見にまつわる驚くべきストーリーを述べ、発見されたアリアのリトルネッロ演奏を披露してくださいます。楽器はヴァイオリン担当です。Maul 博士とはこれまで何度か学会でお会いしていますが、この度、ライプツィヒでもお会いして、山口の講演会の内容や、ヴァイオリン演奏について打ち合わせをしました。

ライプツィヒ・バッハ音楽祭

まもなくライプツィヒ・バッハ音楽祭が開催される。毎年6月中旬、今年は6月14ー23日、テーマは「Bach-宮廷作曲家」である。
ライプツィヒ・バッハ資料館は世界のバッハ研究の中心であるが、同時にライプツィヒ・バッハ音楽祭や国際バッハ・コンクールを主催するバッハ演奏の中心でもある。音楽祭は市内9か所の教会、マルクト広場、ゲヴァントハウスホール、メンデルスゾーンハウス、シューマンハウス、オペラ劇場、博物館、裁判所、旧市庁舎などで、10日間にわたって150のコンサートが開催される。 オープニングコンサートとフィナーレコンサートは必ず聖トーマス教会で行われる。バッハがカントルとして半生を過ごした聖トーマス教会にはバッハの墓があり、バッハファンの捧げる花束の絶えることはない。フィナーレには毎年決まってロ短調ミサ曲が演奏されることになっており、チケットは早々に売り切れる。
ミヒャエル・マウル博士は2018年にバッハ音楽祭の総監督に就任した。知られざるアリア「すべては神とともにあり」BWV 1127 の発見者としても有名なバッハ研究者である。ライプツィヒ生まれ。

やわらかなバッハ会(Soft Bach Society ) はこの度、マウル博士を招待して、山口県旧県会議事堂においてレクチャーコンサートを開催する。アンナ・アマリーア図書館の火災を逃れて眠っていたバッハの自筆譜を発見しバッハ作品目録に新たな1曲を加えた驚くべき物語についての講演(ドイツ語通訳付き)と同曲の演奏を行う。マウル博士は第一ヴァイオリンを担当する。

第6回



バッハの編曲と移調

バッハには沢山の編曲作品があるが、今回はチェンバロ協奏曲を考察する。チェンバロを通奏低音から独奏楽器に進化させるというアイデアはピアノ協奏曲の先駆けとなった。独奏チェンバロの数によって4種類の協奏曲、合計14曲をバッハは書いた。

1台チェンバロ協奏曲 BWV 1052〜1059
2台  〃         BWV 1060〜1062
3台  〃        BWV 1063,1064
4台  〃       BWV 1065

1台チェンバロ協奏曲 2番  ホ長調 BWV 1053 の原曲は オーボエ協奏曲 変ホ長調 か フルート協奏曲 ヘ長調 の可能性が高い。さらに、バッハは後にカンタータ BWV 169-1 ニ長調に転用した。つまり、一つの曲が、ホ長調 ー 変ホ長調 ー ヘ長調 ー ニ長調 で 記譜され演奏されたのである。

1台チェンバロ協奏曲 3番 ニ長調 BWV 1054は ヴァイオリン協奏曲 2番 ホ長調 BWV 1042 から編曲された。これはチェンバロの最高音の鍵盤が足りなかったために1音低い調に移調したと考えられる。ニ長調 −ホ長調


1台チェンバロ協奏曲 5番 へ短調 BWV 1056 の第2楽章は有名なラルゴである。第2楽章はへ短調の平行調の 変イ長調で歌われる美しい曲である。これはもともとオーボエのソロ ヘ長調のラルゴから転用したものである。バッハはカンタータ BWV 156-1 シンフォニアに転用する際も、ヘ長調を用いているが、1台チェンバロ協奏曲は変イ長調で書いた。変イ長調 − ヘ長調


1台チェンバロ協奏曲 6番 ヘ長調 BWV 1057 は ヴァイオリン協奏曲 4番 ト長調 BWV 1049 から編曲された。これもチェンバロの音域の問題によって1音低く移調したと考えられる。ヘ長調 −ト長調

1台チェンバロ協奏曲 7番 ト短調 BWV 1058 は ヴァイオリン協奏曲 1番 イ短調 BWV 1041 から編曲された。これもチェンバロの音域のための移調と考えられる。 ト短調 − イ短調

2台チェンバロ協奏曲 1番 ハ短調 BWV 1060 の原曲はオーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調と考えられ、ニ短調による復元も行われた。これも同じくチェンバロの音域を考慮して1音低い方向への移調と考えられるハ短調 − ニ短調


2台チェンバロ協奏曲 3番 ハ短調 BWV 1062  は 2台のヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV 1043 から編曲された。これも同じく1音低くする移調である。 ハ短調 − ニ短調

3台チェンバロ協奏曲 2番 ハ長調 BWV 1064  は消失した3つのヴァイオリン協奏曲から編曲されたもので、3つのヴァイオリン協奏曲はブランデンブルク協奏曲 3番 ト長調のもとになった曲である。ハ長調 − ト長調

4台チェンバロ協奏曲 イ短調 BWV 1065 は ヴィヴァルディの ”調和の霊感” 作品3-10 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ロ短調 から編曲したものである。 イ短調 − ロ短調


このように14曲のチェンバロ協奏曲の中で、移調されたものが9曲もある。むしろ移調をしなかったものの方が少ないのである。他に、オルガン協奏曲、クラヴィーア協奏曲にも、編曲の際に移調したものが存在する。
上記のチェンバロ協奏曲の移調例は当時よく使用された調ばかりである。当時ほとんど使用されなかった遠隔調は無いも等しい調であった。遠隔調を含むWTC(平均律クラヴィーア曲集)が、移調によって作られた遠隔調の作品を含むことも無理からぬことである。

電子ピアノ

最近は電子ピアノ系の鍵盤楽器が良く売れているという。
アコーステックピアノと電子ピアノ、一長一短があると思いうが、何故電子ピアノがよく売れるのかその理由を考えてみた。ちなみに電子ピアノは標準的なものでピアノ、チェンバロ、オルガン、の音色がある。ピアノ、チェンバロ、オルガンの順で電子ピアノとの比較を試みることにした。

◆ピアノに比べて電子ピアノの方が便利な点
・ピアノ運送専門業者に頼まずとも簡単に自家用車で運搬できる。
・定期的な調律やコンサート前の調律がいらない。また楽器移動に伴う調律も不要である。
・鍵盤が軽いので初心者にも弾きやすい


◆チェンバロに比べて電子チェンバロの方が便利な点
・自分で器具を用いて調律する手間がいらない。
・トランスポーズで古楽のピッチに合すことができる
・非常にデリケートなチェンバロは運搬に最新の注意を要するがその必要がない
・ピアノに慣れた奏者が力一杯打鍵しても壊れない。

◆オルガンに比べて電子オルガンの方が便利な点
・本物のパイプオルガンを弾く機会は非常に少ない
・電子オルガンを2台使用すればオルガン作品のペダルもカバーできる
・教会などに据え付けられたオルガンは持ち出せないが電子オルガンなら何処でも演奏できる。

◆全般的な利点
・トランスポーズを使ってそのままの楽譜で移調演奏ができる。
・ピアノ、チェンバロ、パイプオルガンに比べて非常に安価である。
・近所迷惑にならない音量で練習ができる
・コンサートで必要な場合はスピーカーを使って大音量も出せる
・置き場所を取らない
・他の楽器とアンサンブルをする時、ミキサーで音量バランスを取ることができる。
・寒暖、湿度の影響を受けることなく安定している。

◆全般的な欠点 
・電子楽器は本物の音色とは比較できない。
・電子ピアノはタッチによる音色の変化が乏しい。



パイプオルガンを弾く機会は一般にはほとんど無いので電子オルガンは便利である。


8、メンテナンスがいらない

WTCの同調は同性格か

WTC(平均律クラヴィーア曲集)は1巻2巻それぞれに24の調が網羅され、全部で48のプレリュードとフーガから成る。24×2=48、各調2楽章づつ存在する。1巻、2巻それぞれに存在する同じ調の曲が同じ性格かどうか調べてみよう。もし、バッハが、WTCにおいて各調の調性格を確立しようとしたのなら、1巻と2巻の同じ調は同じ性格でなければならない。

まず最初のハ長調プレリュードを比較してみよう。

1巻1番ハ長調・・・・・・P=静穏な5声体分散和音
2巻  〃   ・・・・・・P=壮麗威厳に満ちたオルガン前奏曲

1巻の方は瞑想的、静かで淡い響きであるが、2巻の方は晴れやかなフルストップのオルガンを連想する分厚い響きである。巻頭を飾るプレリュードについては1巻と2巻でかくも性格が異なる。どちらもハ長調である。

続いてハ長調のフーガの方も比べてみよう。

1巻1番ハ長調・・・・・F=重層的な密接進行、緊張感
2巻 〃    ・・・・・F=快活なフゲッタ、ユーモア

ハ長調フーガも両者は対照的である。1巻の方はストレッタが多く複雑に編み込まれた織物である。2巻の方は軽やかな跳ね回るフゲッタで複雑さはない。 

ハ長調のプレリュードとフーガを両巻比較する時、ハ長調の情緒なるもの、共通点はいったい何だろうか?ハ長調を代表する調性格はどれだろうか?WTCのハ長調はどれも異なる性格の曲なのでハ長調という共通の性格を見出すことは誠に困難である。もし、バッハがハ長調に共通の調性格を認めていたとしたら、これほど性格の違う曲を同じ調で書こうとはしなかったはずである。


途中を省略して一気に最後の24番ロ短調を調べて見てみよう

1巻24番ロ短調・・・・P=夢見るトリオ・ソナタ、沈静
2巻  〃    ・・・・・P=厳格なインヴェンション

同しロ短調プレリュードでも1巻の方は丸みを帯びた深い宗教性を感じられるが、2巻の方はジグザグとしながらリズミックである。

続いてフーガも見てみよう。

1巻24番ロ短調・・・・F=厳粛な半音階的手法、宗教的情緒
2巻  〃    ・・・・・F=陽気な舞曲

ロ短調フーガも両者の性格はかけ離れている。1巻の方は人間的苦悩を表す重厚なフーガであり、巻末を飾るのに誠に相応しい大作である。これに反して、2巻の方は躍動感に富んだユーモラスな舞曲であり、巻末を飾るには軽過ぎる。

WTCにおけるロ短調の情緒も実に多種多様であって、ロ短調の性格と聞かれてどれが代表的なものなのか答えに窮する。バッハの場合、ロ短調は厳粛な宗教的情緒だと思いきや、夢見る対話であったり気楽な舞曲であったりもする。
バッハがロ短調に一定の性格を与えていないことはWTCを見る限り確実である。

Yo Tomita 他の研究によって、バッハはWTCを編集する際に、簡単な調からの移調を試みて遠隔調を作り上げたことが明らかにされた。もしバッハが移調によって、曲の性格が変わってしまうと本気で考えていたら、移調を試みることはなかったはずである。

そもそも調や調性格というものを、WTC も ロマン派の時代の作品も、ひっくるめて同じ俎上で論じようとすることに無理があるのではないか。なぜならバッハのフーガはSDTを持つ完全なカデンツより、調的浮遊性の強いゼクエンツに支配されてiいる。また教会旋法、復調もある。ゼクエンツは音度上での隣接性によって結ばれるもので調を確立するには短か過ぎる。テーマですら途中で転調するものがある。従ってフーガは一つの調に長く留まっていないという意味で転調が無いともいえるからである。バッハがWTC において理論上考えられる24の調を網羅して世に示したことは画期的なことであった。それまで使われていなかった調までを網羅した業績は大きかった。しかしバッハはそれまで無かった新たな調性格を示したわけではない。移調まで試みて珍しい調を網羅したのであるから。

この根本的なことを理解せず、ハ長調から半音づつ上昇する順序で演奏することに意義があり、移調などもっての外と考える人も多い。もしバッハがロマン派における調を基準としてWTCを編纂していたならば、ショパンの24のプレリュードがそうであるように5度圏の順序で並べたはずである。(C:→a:→G:→e:→D:→)。しかし、WTCは半音ずつ上昇する順(C:→c:→Cis:→cis:→D:→d→)を採用しており、5度圏は無視している。だからWTCを最初から順に弾くと隣接する楽章の調的飛躍が起こる。バッハが近代和声学の基礎を築いたと言われるが、ロマン派の調や調性格とは少し異なることがわかる。さらに言えば、バッハは同時代のマッテゾン(mattheson 1681〜1764) の言う調性格とも無縁であった。これについては拙著の中で詳しく述べた通りである。

既成概念はなかなか変わらないものである。それはト長調のメヌエットが実はペツォルトの作品だったということが発表されてもまだ、バッハの作品だと思っている人が結構多い事でもわかる。ト長調とト短調のメヌエットに関する記述はシュルツェ(H.J.Schulze 1934〜) が発表した論文(バッハ年鑑)にあるもので、それは 1979年のことだった。今から40年も前である。拙著『やわらかなバッハ』の中でト長調のメヌエットについて書いたのは2009年、今から10年ほど前のことである。日本の小学校の音楽教科書にト長調のメヌエットがペツォルト作曲と改訂されたのはほんの数年前である。メヌエットの例一つとっても、新事実が世に知れ渡るのには長い年月を要することがわかる。 WTCの真実も長い年月をかけて少しづつ既成概念が変わってゆくのだろう。

音楽大学の学科偏差値

受験シーズン真っ只中、音大受験生にも学科試験はある。実技偏重はさておき、学科の方の偏差値を 「2019年度 入試対応 大学・学部 偏差値一覧」 benesse から調べてみた。

「大学偏差値一覧」は文系と理系に分かれており音大は文系に分類されている。

中世の大学では自由七科といい、文法・修辞学・弁証法の3科が文系、算術・幾何・天文・音楽の4科が理系である。音楽は明らかに理系だった。
いつの間に音楽が文系になり、実技偏重になったのだろう?

以下は文系のみを調べたもので数字は偏差値を示す。
同一大学でも学部ごとに偏差値が異なるため、最も高い学部に従って記した。
音楽大学や音楽系学部は太文字で示した。
男女共学、4年制大学のみ記した。
あまりに大学の数が多いためすべてを記すことはできなかった。


83 慶応大
82 早稲田大
80 東京大
77 京都大
76 上智大
75 一橋大  大阪大  国際基督教大
74 中央大 明治大 立教大 法政大 同志社大
73 関西学院大
72 名古屋大 神戸大  
71 九州大 青山学院大 立命館大
70 関西大 南山大 
69 東北大 横浜国立大 東京外国語大  学習院大
68 北海道大 千葉大 大阪市立大 
67 首都大学東京  成蹊大 武蔵大
66 明治学院大 獨協大 東京理科大 中京大
65 国学院大 竜谷大 近畿大
64 成城大 創価大 立正大 関西外語大
63 東京芸術大(音) 岡山大 玉川大 明星大 専修大 佛教大
62 東京学芸大(教育) 筑波大(芸術専門学群) 熊本大 駒澤大  
61 広島大(教育) 埼玉大 信州大 甲南大 順天堂大 中村学園大
60 専修大 武蔵野大 畿央大
59 帝京大 立正大 金城学院大 福岡大
58 大阪経済大学
57 大阪教育大(教育) 日本大(芸術)  亜細亜大  東京経済大  
56 玉川大(芸術)  帝京大  大正大 広島専修大
55 山口大(教育)  拓殖大  桜美林大 
54 島根大学(教育) 大東文化大 亜細亜大  岡山理科大
53 国士舘大 阪南大 天理大
52  東海大(教養芸術) 東京福祉大 九州ルーテル学院大
51 琉球大(教育) 杏林大
50 山口学芸大(教育) 中部大 常葉大 
49 国立音大(音)  桐朋学園大(音)   目白大 育英大
48 武蔵野音楽大(音)
  京都精華大  沖縄国際大
47 沖縄県立芸術大(音楽) 東京音大(音) 大阪芸術大学(芸術) くらしき作陽大(音楽)   淑徳大   和光大
46 名古屋芸術大(芸術) 大阪音楽大 高松大 鶴見大
45 上野学園大(音)  昭和音大(音)  洗足学園大(音) 名古屋音楽大  鈴鹿大
44 エリザベト音楽大(音)  東邦音楽大 相愛大(音) 東亜大(芸術) 平成音大 札幌学院大
43 人間環境大  江戸川大 芦屋大
42 東京富士大  四日市大 豊橋創造大
40 朝日大
やわらかなバッハの会
〒753-0072 山口県山口市大手町
3−6 大手町ビル4F
毎週日曜日19:00 PM
毎週金曜日10:00 AM
毎月1回   対話集会18:00 PM
都合により日時を変更する場合もありますので初めての方は事前にご連絡ください

お問い合わせはこちら

マンスリーバッハ(毎月第2日曜日)
午後4時〜6〜時
場所:新山口駅構内

ライプツィヒ・バッハ音楽祭
2020年6月14日3:00 PM
ライプツイヒ福音改革教会

<プロフィール>
やわらかなバッハの会 
会長 橋本絹代
新しい鍵盤楽器記譜法「イコール式」の創始者

子供の頃、父と一緒に、バッハのフーガをピアノ分担奏で弾くことによって、声部進行を直感的に学び取り
バッハのとりこになった。
初級者でもバッハのフーガを楽む方法を提案している。

2007年 世界で初めての楽譜《イコール式バッハ平均律クラヴィーア曲集》カワイ出版 

2009 音楽書『やわらかなバッハ』春秋社

2013「やわらかなバッハの会」設立

2014 バッハ礼讃音楽祭 (於 旧県会議事堂) 毎年開催

2016 バッハ・イン・ザ・サブウェイズ (於 新山口駅構内)毎年開催

2017 Bach Network UK 対話会議研究発表 (於 ケンブリッジ大学)

2017 Prof.Yo Yomita (富田庸) 講演会「バッハを嗜む」主催(於山口大学)

2018 Thomas Cressy 明治150年記念「日本の明治時代におけるバッハ受容」

イコール式とは「鍵盤楽器においてどの調も皆同じ」という意味です。
なぜなら12等分平均律の鍵盤楽器における調性とは、ただ高さのみによって識別される2つの旋法、すなわち長調と短調の性格だけに限られるからです。
12等分平均律は勿論のこと、不等分音律を前提に論じたマッテゾンでさえも「どんな調もそれ自体では、その逆を作曲し得ないほど悲しかったり楽しかったりすることはできない」と述べています。
異名同音、ピッチの変動、バッハの手による移調の試みなどを考慮すれば、《バッハ平均律クラヴィーア曲集》の中の難しい調を簡単な調に移調してまず親しむことが大切です。初級者は更にそれをアンサンブルで楽しむことが大切です。
やわらかなバッハの会は既成概念にとらわれず、自分自身の判断で音楽の本質を探究するところです。


世界唯一! 平均律クラヴィーア曲集の移調
音楽の構造が良く解る










Amazon


<イコール式の意味>
*12等分平均律の鍵盤楽器においてはどの調も同じ(イコール)です *フーガの各声部は主従関係ではなく対等(イコール)です *12等分平均律の調律法はイコール・テンペラメントと言います *音名と階名が同じ(イコール)読み方です
Archives
記事検索

イコール式チラシ
  • ライブドアブログ